1. プロフィール
名前:カール・ベケット(Carl Beckett)
年齢:27歳
性別:男性
身長:191cm
2. 紹介及び特記事項
まさか、あの「エレボス」の傭兵が自らここに来るとは、思いもしませんでした。
最初は、彼から「エレボス」に関する新たな情報を得られるかもしれないと期待していたのですが...
彼が提供した情報は、我々がすでに手に入れた情報でした。
これは、我々が把握している情報が確かなものであることを意味しますが...
逆に、我々が彼らについてどこまで把握しているかを把握されているかもしれないという意味にも
なります。
どちらにせよ、彼については注意深く観察する必要があります。
とにかく、「エレボス」についてはこちらの担当ではありませんし、
この話はこの辺にして、彼について話しましょうか。
8年前の報告書と比べて、彼の性格は随分変わったみたいです。
以前より冷静で、荒れっぽくなった...と言った方が正しいですかね。
彼は基本的に感情の起伏が少なく、他人と話す時は冷笑的な態度を取る傾向があります。
そのせいか、他の実験体たちともめ事を起こすことが多いようです。
しかし、そんな態度とは対照的に、仲間を見捨てたりはしないみたいですね。
たとえそれが彼に悪影響をもたらすとしても、です。
他に変わった点と言えば...
彼との面談で、これまでの8年間の行方や以前の生活について聞いてみたのですが、
とても防御的な態度を取っていたことですね。
彼は他人に自分の過去について、全く話したくなさそうでした。
まあ、彼にとっては平穏だった過去と、毎日危険にさらされる傭兵としての今の生活を比べること自体、
意味のないことでしょうからね。
でも、それって「過去に対する未練がまだ残ってる」ということではないでしょうか?
彼が我々に提示した条件からして、そうだとしか思えませんしね。
彼がこっち側に来る可能性...ですか?ないと思いますね。
恐らく彼が望んでいるものは、ここにありませんので。
―心理科学専門研究員 Dr.H
3. 活動記録
8年前の報告書によると、21M-RFT50(エイデン)の家庭は裕福ではありませんでした。
そのため、彼は成人になった後、家族の生計を立てるために仕事を探し、
自分の優れた身体能力を活かして私設警備員になりました。
お金を多く稼ぐことはできませんでしたが、家族と共に平和な日々を過ごしていたこの頃まで、
彼の人生はそれほど悪いものではありませんでした。
しかし、警備員とは恨みを買いやすい職業...
彼は恨みを持った連中に捕まって電気ショックで拷問を受けました。
報告書にも書かれていますが、彼のVFが覚醒したのは恐らくこの時期でしょう。
彼のVFが電気の性質を持つのも、これが原因かと。
その後については知っての通り、彼と交渉するために派遣した3人の隊員が事故死し、
彼は行方不明になりました。
彼が「エイデン」というコードネームで傭兵生活をしていたことを把握したのは、つい最近のことです。
おかげであの時の事故に「エレボス」が関わっていた可能性も高くなりました。
死亡した隊員たちのEDRがなくなったことや現場で何の証拠も見つからなかったのも、
彼らが関わっていたからだと納得がいきます。
彼らは情報を隠すことに長けていますからね。
我々と接触する前に、彼が最後に姿を現したのは6カ月前のことです。
情報員の話によると、彼は6カ月前の任務でVFをコントロールできなかったみたいですね。
暴走...には至らなかったようですが、検査結果でも分かるように、彼のVFは不安定な状態でした。
とりあえず、今はなんとか安定させることができましたが、いつまた不安定になるかは分かりませんね。
やはり、彼の望み通りにするのが最善の選択なのでしょうか?それとも...
―先任研究員 J